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『ダッシュ!!』第一話

『ダッシュ!!』第一話





温かいぬくもりが残る左手。

あの後彼に手を引かれながら向かった保健室には『会議の為不在中』という札がかかっていた。

『仕方ない。僕が手当てをしよう。』
そういってゆっくりと私の手を離した彼は手当てに必要な道具を探し始めた。

「氷上くん、消毒液ならそこの棚の二番目。綿は左の引き出しでピンセットも同じところにあるよ。あとガーゼは・・・」
『・・・すまないが一辺に言われると混乱してしまう。順をおって説明してくれないか?』
「あっごめん。」
一気に説明されて困った氷上くんに順番に説明しながら医療用具を出すと手当てをしてくれた。

「これくらい自分でできるよ。」
可愛げのない一言。
それでも彼は『怪我人に手当てはさせられない。』と言って手当てをかってでてくれた。

可愛げのない事しか言えないのに。
表情一つ変えず傷の手当をしてくれる彼を見ながら私は申し訳ないような気持ちでいっぱいになった。

傷の手当てはなれないのかな?
器用というには程遠い感じの手つきに思わず笑ってしまいそうになる。
でも一生懸命やってくれているからここは笑うのを我慢しておかなくちゃ。

必死で笑いをこらえていると彼は手当てしながら話かけてきた。
『・・・君は保健委員ではない筈なのに何故消毒液などの場所を知っているんだ?』
「あー、それは・・・。」
『言いたくないならいいんだ。困らせてしまったようだな。』
「うーん。別に言いたくないわけじゃないんだけど。」
それから私は何で詳しいのか理由を話始めた。

「私一年の頃結構病気がちでって言っても重い病気とかじゃなくて中学卒業してからはばたき市に移ったから慣れない環境に胃が痛くなっちゃったりとかしててそれでよく保健室で休ませてもらってたの。
それで先生が不在の時に道具の場所教えてもらって具合の悪い人とか怪我してた人の手当てとかしてたんだよね。」
『君も具合が悪かったのにか?』
「私の場合は精神的にくるもので動けないワケじゃなかったし、保健室にいるってだけで気が休まってた部分もあったから。」
『・・・そうなのか。』
「ズルしてるって言われたら何も言えないけど、私みたいに精神的に辛い人が保健室利用する事も少なくないよ?」
私の話に相槌を打ちながら何か考えてる様子の彼は手当てが終わるとゆっくりと立ち上がった。

そういえば私お礼言おうって思ってたんだ!
すっかり忘れてた。
「あっ氷上くん!!!その・・・色々ありがとう。」
やっとの思いで言えた言葉に少し驚いた表情をした彼は『別にかまわない。』と言って保健室をでていってしまった。

なんだったんだろう・・・。
てっきり『先に教室に戻ってる』くらい言うのかと思ってたのに。
やっぱり彼の事はよくわからない。

でもたった一つだけ分かった事は彼がそんなに嫌な奴ではないってことかな。

いつまでも保健室にいるのもなーって思ったけど先生もいないし朝から散々な目にあった(自分の所為)からチャイムがなるまでゆっくりさせてもらおう。

校庭では体育の授業をしているのかにぎやかな声がする。
天気はとても良くて晴れてるし、このまま寝ちゃうかどっかいきたい気分になる。

「あーこのままサボりたいなー。」
『それでは本当にズルしたことになってしまうだろう。』
「!!!!?」

誰もいないと思って何となく口にした言葉に返事が返ってきてビックリして振り返るとそこにはさっき出て行った筈の彼がいた。

「氷上くん?!どうして?教室戻ったんじゃなかったの?!」
『保険医の先生と若王子先生に一言言ってきた。あとチャイムがなるまで保健室にいることも話しておいた。』
「え?何て言ったの?よく大丈夫だったね。」

私の問いに少し間をおいてから『気分が優れないから僕も保健室で休ませてくださいと言っただけだ。』と答えた。

「具合悪かったの?」
『具合が悪い訳じゃない。君の話を聞いて考えたいことができた。気分が優れないというのは嘘だがもう少し君と話をしてみたいと思ったんだ。』
「・・・そっそっか。」

彼の言葉にただただビックリしている私。
確かに私も彼の事をもっと知りたいと思ったけどこうも直球でくるとは思わなかった。
ていうか何気に恥ずかしいよ!!!

彼の表情は至って普通。
冷静っていうか、特に何にも気にしてない感じ。

あーなんか色々聞きたい事があるのは私の方だよって言いたくなるけど彼の表情を見てたらなんかどうでもよくなってきた。
考えるだけ頭いたくなるよ・・・きっと。

「何が聞きたいの?特に面白い話とかできないけど。」
『かまわない。君の考え方や発想は色々と勉強になる。』
・・・・・ワケわかんないよ。
ケンカ売ってるワケじゃないよね?

「んー、良くわかんないからとりあえず何か質問して。」
『わかった。答えに困ったら答えなくて結構だ。』
「ハイハイ。」
『ハイは一回でいい。』という彼の一言に出だしうんざりしながらも一つ一つ質問してくる彼にゆっくり答えて言った。

部活は入ってるのかーとかさすがに執行部に勧誘されることはなかったけど勉強は好きかとか色々、他愛のない話をした。
私の考えとか発想がこの会話のどこに入っているのか自分では全然わからなかったけど時折微かに微笑む彼をみているのは結構面白かった。

何で私と話がしたかったのか、理由を聞いたけど『さっき話しただろう。』と言うだけで何だがはぐらかされた気分だった。

私の考えや発想が勉強になるなら他愛のない話じゃなくて勉強になるような内容を話せばいいのに。
変なの。

外はポカポカ陽気。
「あーなんかこのままサボりでもいいやー。」
『・・・次のチャイムがなったら強制的に教室に連れて行くから安心したまえ。』

本当、変な会話。
誰かが聞いてたら可笑しな奴らだと思うんだろうな。

でもこういうのって悪くない。
むしろ好き。

授業中、保健室で男女二人きり。
だけど全然ムードとか色気なんてゼロ。

彼と私の間に色気なんてこの先ある訳ないか。
話がしたいとか相手の事を知りたいっていうのはあっても色気とかとは違う気がするし。
うーん。
よくわからなくなってきたから考えるのよそう。


考えるのが面倒くさくなった私をよそにこれから彼が、彼の心が少しずつ変化していく事にこの時まだお互い気づく筈もなかった。




つづく
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